不動産売買での『越境トラブル』〜営業担当者が知っておきたい対策と土地家屋調査士の活用法〜
1.はじめに
不動産の売買において、「思っていたより土地が狭い」「ブロック塀が越境していた」など、境界に関するトラブルは少なくありません。
特に、越境トラブルは契約後に発覚すると、クレームや損害賠償に発展することもあります。
この記事では、不動産営業の方に向けて、現場でよくある越境トラブルと、その未然防止のためのポイント、そして私たち土地家屋調査士ができることをお伝えします。
2.越境トラブルとは?基礎知識をおさらい
『越境』とは、本来の敷地境界線を越えて、建物や工作物、植栽、設備などが他人の土地に侵入している状態を指します。
例えば、
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- ブロック塀やフェンスの一部が隣地にかかっている
- 屋根のひさしが隣地の空間を越えている
- エアコンの室外機や排水管が越境している
といったケースがよく見られます。
3.よくある越境トラブルの事例
①塀・ブロック・フェンスの越境
「昔からこのままだった」と言われがちですが、実際には境界を越えてしまっているケースがあります。
②屋根やひさし、雨樋などの空中越境
建築当時は問題なかったが、道路拡幅や隣地との変化で越境状態になることも。
③植栽や給排水管などの地下越境
樹木の根っこや配管の一部が知らない間に隣地へ侵入していることがあります。
4.売買にどう影響する?営業担当者が知るべきリスク
越境トラブルは、放置しておくと取引の安全性に大きな影響を及ぼします。
契約不適合責任の対象になる可能性
→ 特に買主が気づかず購入した場合、後から損害賠償請求を受けることも。
価格交渉や取引中断の原因に
→ 越境状態のままでは住宅ローンが通らないケースも。
トラブル対応で時間と労力がかかる
→ 隣地との協議や撤去、覚書の作成が必要になる場合も。
5.営業担当者ができる越境トラブルの事前チェック
不動産会社の営業担当者として、越境の有無を事前に確認・対応することは大きな付加価値になります。
①筆界(境界)に関する資料を精査する
法務局に備え付けられている地積測量図や建物図面を取得・確認する。また筆界(境界)に関する資料の有無についても入念に確認する。
②現地での目視確認
塀の位置や屋根の張り出し、配管・植栽など、目で見て「おや?」と思ったら要注意。
③売主・買主へのヒアリング
「以前トラブルがあったか?」「隣地と話し合ったことがあるか?」なども聞いておくと有益です。
6.土地家屋調査士の活用法
私たち土地家屋調査士は、現況測量や境界確認のプロフェッショナルです。
以下のような場面でお役に立てます。
現況測量・境界調査
敷地の正確な寸法や境界線の現状を把握するための測量や資料調査を行えます。越境の有無を明確にできます。
隣地所有者との立会・協議
越境解消や覚書作成の際、第三者として中立的に立ち合い、円滑な話し合いをサポートします。
トラブル予防のための図面・報告書作成
法的に安心な売買に繋がる根拠資料を作成し、後のトラブルを予防します。
7.まとめ
越境トラブルは、小さな見落としが大きな信頼損失につながるリスクです。
営業担当者が少し視点を変えて動くだけで、未然に防げるケースも多くあります。
土地家屋調査士と連携することで、現地確認では見えない情報も可視化できます。
『安心して引き渡せる不動産』を目指し、境界に対する意識を少しだけ高めてみませんか?
土地家屋調査士法人 BASE ONE(旧 ハヤシ登記測量事務所)
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