古家付き土地の工事前にやっておくべき「測量・境界確認」実務ガイド
古家付き土地での解体やリフォーム工事において、工事が始まってから境界や敷地トラブルが発覚することは、決して珍しくありません。
工期の遅れ、追加費用、近隣トラブル…。こうしたリスクを未然に防ぐために、事前の測量と境界確認が非常に重要です。
本記事では、工務店やリフォーム業者の皆さまに向けて、現場で役立つ測量・境界確認の基本と、土地家屋調査士との連携ポイントを解説します。
１．古家付き土地工事のリスクと境界の関係
古家付き土地では、既存建物が敷地のギリギリまで建っていたり、昔のブロック塀やフェンスが曖昧な位置にあることが多々あります。
「ここまでが敷地だろう」と感覚的に判断して、解体や施工を始めてしまうと、
- 実は一部が隣地に越境していた
- フェンスの所有者が別人だった
- 境界杭の存在や意味を分からずに隣地構造物まで解体してしまった
といったことが起こる可能性があります。
２．解体・リフォーム前に測量を行うべき理由
現況を把握し、リスクを見える化することが、測量の主な目的です。
以下のような工事では特に注意が必要です。
- 境界沿いのブロックや塀の撤去・再設置
- セットバックの要否判断が必要なリフォーム
- 敷地図面が残っていない土地
工事前に測量を行うことで、現場での無駄な手戻りや施主とのトラブルを防げます。
３．測量の種類と使い分け
現況測量
敷地の現状を把握するための基本的な測量です。
境界杭の有無、ブロックの位置、隣地との接点などが明らかになります。
→ 図面がない土地や、工事範囲が曖昧な場合におすすめ
境界確定測量
隣地所有者立会いのもと、法的に正確な境界を確定します。
後々の登記や売却、相続にも活用できます。
→ ブロック・擁壁の新設、建て替えなど、長期的な価値を意識する工事向き
４．境界トラブルの実例と対策
◆越境して解体したと指摘された事例
→ 古い建物が境界をまたいでいたが、図面確認を怠った
◆既存ブロックが隣地所有だった事例
→ 撤去後にクレーム、再設置の費用を業者が負担
◆重機の進入路が隣地通行だった事例
→ 測量して初めて他人地と判明し、工事が数週間中断
どれも、測っておけば防げたケースです。
５．土地家屋調査士との連携ポイント
- 早い段階（現地調査・見積前）で相談する
- 敷地資料（公図、地積測量図、建物図面）がある場合は事前に共有
- 調査士による現地立会いで、お施主様・近隣対応の信頼感アップ
- 工期や工程の共有で、立会い日程のスムーズな調整を行う
６．業務効率化につながるチェックポイント
以下のような現場チェックリストを社内で活用しておくと、トラブル回避に役立ちます。
- 現地に境界杭はあるか？
- 図面類の有無について（特に、土地境界に関係する図面であるかどうかが重要となります）
- 建築確認や法的要件の確認は済んでいるか？
- 土地家屋調査士への事前相談は行ったか？
７．まとめ リスク回避と顧客満足のために
解体・リフォーム工事において、測量や境界確認は、保険のような存在です。
トラブルは未然に防ぐのがベスト。
特に、古家付き土地のように情報が少ない現場では、土地家屋調査士との連携が、工務店様・施主様双方の安心につながります。
８．よくある質問（FAQ）
Q. 測量って必ず必要なんですか？
→ 小規模リフォームでは必須ではありませんが、境界沿いの工事やブロック塀工事では強く推奨されます。
Q. 測量の費用はどれくらいかかりますか？
→ 現況測量で10〜20万円、境界確定測量は30〜50万円が目安です（敷地規模・立会い数によって変動）。
Q. 土地家屋調査士ってどこまで対応してくれますか？
→ 測量だけではなく、隣地立会いの段取りや登記申請まで一括して対応可能です。
９．ご相談はこちら
土地家屋調査士法人BASE ONEでは、測量から境界確定・登記・近隣対応まで一貫して対応しております。
現場での困った！が起きる前に、ぜひご相談ください。
土地家屋調査士法人 BASE ONE（旧 ハヤシ登記測量事務所）
本社：〒603-8838 京都府京都市北区大宮田尻町9番地4
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